気象庁の kt → m/s 換算表は公開されていた

2026-09-18

昨日、「台風の最大風速のkt → m/s は「式」ではなく「換算表」があるかもしれない話」という記事を書きましたが、公開した翌日に、気象庁が同じ換算表を公開していることがわかりました。

前記事では、台風位置表とベストトラックを2,157点で突き合わせて、kt→m/sは式ではなく固定の対応表で決まっているらしい、という20組の表を作りました。この20組について、公式の表と比べて答え合わせをしてみました。

見つかった表

気象庁のサイトに「速度、風速、距離の換算表」というページがあります。台風情報などで使う「ノット→km/h」「ノット→m/s」「海里→km」の3つの表が載っています。

版が2つありますが、風速(ノット→m/s)の表は両方の版で同一でした。2020年に変わったのは距離(海里→km)の表だけのようです。

このページは、台風位置表の年別ページの末尾からリンクされていました。

また、「ノット」から「m/s」、「海里」から「km」の変換については予報用語の速度、風速、距離の換算表をご参照下さい。

とあります。前記事の照合でPDFを取りに行った、そのページの下にありました。PDFのリンクだけを機械的に拾っていたので、末尾の文章は読んでいませんでした。

20組を当てた

前記事で作った20組は↓です。

 35→18   40→20   45→23   50→25   55→30
 60→30   65→35   70→35   75→40   80→40
 85→45   90→45   95→50  100→50  105→55
110→55  115→60  120→60  125→65  140→70

これを公式の表に当てたところ、20組すべてが一致しました。

前記事で別の出典から補った2つの値も、公式の表と一致しています。

kt前記事での裏取り公式の表
125位置表2件(MEGI / HAIYAN)で65m/s65
140防災科研の公表値70m/sから70

公式の表の全体

風速の表は、5kt刻みで5〜300ktまでの60行と、括弧付きの3行を合わせた63行です。

   5→3     10→5     15→8     20→10    25→13    30→15   (34→17)
  35→18    40→20    45→23   (48→25)   50→25    55→30    60→30
 (64→33)   65→35    70→35    75→40    80→40    85→45    90→45
  95→50   100→50   105→55   110→55   115→60   120→60   125→65
 130→65   135→70   140→70   145→75   150→75   155→80   160→80
 165→85   170→85   175→90   180→95   185→95   190→100  195→100
 200→105  205→105  210→110  215→110  220→115  225→115  230→120
 235→120  240→125  245→125  250→130  255→130  260→135  265→135
 270→140  275→140  280→145  285→145  290→150  295→150  300→155

括弧付きの34 / 48 / 64ktは、台風の階級の区切りの値のようです。気象庁の「台風の番号の付け方と命名の方法」に、台風を英語で表記するときの最大風速に応じた階級として

Tropical Storm(TS):最大風速34ノット以上48ノット未満

Severe Tropical Storm(STS):最大風速48ノット以上64ノット未満

Typhoon(TまたはTY):最大風速64ノット以上

とあり、この区切りが34 / 48 / 64ktです。前記事で使ったベストトラックにも、各時刻の階級としてこのTS / STS / TYが入っています。

3つをm/sにするとそれぞれ17 / 25 / 33です。気象庁が「台風」を「最大風速(10分間平均)がおよそ17 m/s(34ノット、風力8)以上」としているのは、この34kt→17が出所のようです。

ベストトラックのktは5kt刻みなので、この3行は前記事の照合には現れませんでした。公式の表を見て初めて知りました。

規則で書けるか

前記事の主題は「換算は式ではなく表」でしたが、公式の表が手に入ったので、改めて規則を探してみました。

「50kt未満はkt × 0.514444を1m/sに丸め、50kt以上は5m/sに丸める」という規則を当てはめると、括弧付きの3行を除く60行のうち59行が再現できました。

外れるのは40kt→20の1行だけです。40 × 0.514444 = 20.58なので、規則なら21になります。

前記事で、3ペアしか無い段階で最初に躓いたのが、この40kt→20でした。公式の表でも、その1行だけが規則から外れています。

ちなみに、この規則は僕が当てはめてみたものです。気象庁がそう定めていると書いているわけではありません。

前記事の訂正

前記事に「気象庁がそう公表しているわけではない」と書きましたが、これは誤りでした。表は公開されていました。

前記事の主張のうち、何が正しくて、何が誤りで、何が変わるのかを並べると↓のようになります。

前記事の主張公式の表で
kt→m/sは固定の対応表正しい(公式の表が存在)
線形換算の四捨五入とは一致しない(55→30など)正しい(40→20は規則でも説明できない)
m/s→ktは30m/s以上で2通りに割れる正しい(55〜170ktは隣り合う2組が同じm/s)
20組の表正しい(全組一致)
130 / 135ktは表に入れない変わる(実測には無いが公式値はある)
気象庁は公表していない誤り

逆向きの「30m/s以上はすべて2通り」は、公式の表では55〜170ktの範囲で成り立っています(55/60→30、65/70→35、…、165/170→85)。その外では175kt→90が単独になります。実在の台風は最大140ktなので、前記事の主張には影響しません。

kinoatsuでの扱い

前記事で「実データに1件も無いので表に入れない」とした130ktと135ktは、公式の表に値がある(130→65、135→70)ので、公式値として表に足しました。実データには現れませんが、公式値なので推定で埋めたことにはなりません。

表示は「2026年の台風」のページで見られます。

おわりに

気象庁の換算表について纏めてみました。式ではなく表があるのだろう、という前記事の予想どおりでしたし、照合から作った20組が公式の表と一致していて良かったです。

参考